「小松左京アニメ劇場」配信中

*原作集も電子書籍化

目次

「小松左京アニメ劇場」概要

 「小松左京アニメ劇場」は、今から30年以上前の1989年に、バンダイ(現バンダイナムコフィルムワークス)が企画したビデオ化を前提としたテレビアニメ。全国放送されることはなく、大阪の毎日放送の深夜枠で放送され、その後ビデオ化されました。
 制作は、ガイナックス、脚本は山賀博之さん。キャラクターデザインは、いしかわじゅん先生。声優は、名古屋章さんと富田靖子さんで、ナレーションや一般的な登場人物だけでなく、アンドロイドや宇宙人、さらに神様まで、全て二人だけで演じています。
 DVD 未発売作品のため、今回の配信が本作を鑑賞する貴重な機会となります。
 
 小松左京は、1962年にSF作家でデビューしますが、それ以前に学生漫画家として 活動していた時期がありました。
このためSF作家になってからも、ビジュアルをイメージしやすい作品が多く、「日本沈没」「復活の日」といった劇場映画だけでなく、ドラマやコミック、ゲームなど様々な形で作品がビジュアル化されてきました。
 しかし、なぜか最も相性がよいと思われるアニメだけは縁が薄く、アニメと実写の合成の「宇宙人ピピ」や、作品紹介などのダイジェスト的なアニメを除き、2020年にNetflixアニメ「日本沈没2020」が出るまでは、アニメ化作品は、唯一「小松左京アニメ劇場」だけでした。

配信サイト:dアニメストア :バンダイチャンネル

「小松左京アニメ劇場」は下記のサイトで配信中です。
・dアニメストア
 https://anime.dmkt-sp.jp/animestore/ci_pc?workId=23993

・バンダイチャンネル 
  https://www.b-ch.com/titles/7749/001

原作初出一覧

SF番組
 (1964 年 9 月 サンケイスポーツ)
お仲間入り
 (1964 年 7 月 サンケイスポーツ)
新型貯金箱
 (1965 年 1 月 サンケイスポーツ)
かえってきた男
 (1964 年 9 月 サンケイスポーツ)
故障
 (1964 年 11 月 サンケイスポーツ)
工事
 (1965 年 9 月 サンケイスポーツ)
失われた宇宙船
 (1965 年 6 月 サンケイスポーツ)
胎内めぐり
 (1964 年 8 月 サンケイスポーツ)
伝説
 (1963 年 5 月 宇宙塵 67 号)
観月譜
 (1964 年 9 月 サンケイスポーツ)
倒産前日
 (1964 年 12 月 サンケイスポーツ)
初夢
 (1965 年 1 月 サンケイスポーツ)
夏の行事
 (1965 年 7 月 サンケイスポーツ)
星野球
 (1964 年 8 月 サンケイスポーツ)
怪獣撃滅
 (1967 年 6 月 別冊宝石)
地下道
 (1965 年 3 月 サンケイスポーツ)
昔の義理
 (1965 年 8 月 サンケイスポーツ)
釈迦の掌
 (1963 年 5 月 別冊サンデー毎日)
辺境の寝床
(1967 年 1 月 別冊宝石)
さんぷる一号
  (1962 年 7 月 宇宙塵 57 号)
四次元ラッキョウ
  (1966 年 7 月 漫画読本)
空中住宅
 (1965 年 1 月 サンケイスポーツ)
運命劇場
 (1968 年 1 月 別冊小説新潮 冬季号)
手おくれ
  (1967 年 4 月 話の特集)
おちてきた男
  (1967 年 6 月 話の特集)
忘れられた土地
  (1965 年 3 月 漫画読本)
コップ一杯の戦争
 (1962 年 11 月 NULL8 号)

小松左京アニメ劇場「怪獣撃滅
©バンダイナムコフィルムワークス
/小松左京ライブラリ
小松左京アニメ劇場「辺境の寝床
©バンダイナムコフィルムワークス
/小松左京ライブラリ
小松左京アニメ劇場「新型貯金箱
©バンダイナムコフィルムワークス
/小松左京ライブラリ
小松左京アニメ劇場「星野球
©バンダイナムコフィルムワークス
/小松左京ライブラリ
小松左京アニメ劇場「運命劇場
©バンダイナムコフィルムワークス
/小松左京ライブラリ
小松左京アニメ劇場「SF番組
©バンダイナムコフィルムワークス
/小松左京ライブラリ

エピソード

 「小松左京アニメ劇場」の原作は、純粋なSF、ホラー、ナンセンスと、バラエティーに富んだ内容で、全部で27作もあますが、原作ショートショートの多くはサンケイスポーツに掲載されていたため、肩の凝らない軽いタッチで、その上、SFマインド溢れる突拍子もないお話が多くなっています。自動販売機から無尽蔵にオレンジジュースがあふれ世界がオレンジの海に沈むという「故障」(1964年初出)は、中でも突拍子さが際立つ作品ですが、この物語を書いた二年後に、小松左京は、まるで物語をトレースするかのようなアクシデントに巻き込まれることになります。
 1970年の大阪万博を成功させようと立ち上がった知的ボランティア団体の「万国博を考える会」創設メンバーの一人である加藤秀俊先生が、2018年に出版された小松左京の万博回顧録を収めた新潮文庫『やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記』に書かれた解説で確認できます。
 万国博とは実際にどのようなものか理解することを目的に、1966年、当時開催準備中だったモントリオール万博の会場を視察するため渡航した際の愉快なエピソードです。

 ニューヨーク・ヒルトンに泊まったときのこと。予算の関係で二部屋しかとれず、3 日に 1 度1人部屋でと言われたが、結局 3 人で夜な夜な酒盛りをして、床にごろ寝という仕儀に なった。ウィスキーの水割りばかり飲んでいたが、バスルームのところに製氷機があって、なかなか便利だった。ところが小松さんがその製氷機をいじって壊してしまって、氷が止まらなくなってしまった。
 どんどん出てくるから、梅棹さんと 2 人でバスタブにお湯をためて、必死で氷を運んだ。
 だいたい、いつも何かをしでかすのは小松さんで、帰りに寄ったハワイでも、ムスタン グを借りてわたしが運転したら、小松さんが何やらいじって、幌が走行中に上がってしまったり……。忙中におとずれた、なんとも愉快な珍道中であった。


         新潮文庫『やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記』解説(加藤秀俊)より

新潮文庫「やぶれかぶれ青春記 大阪万博奮闘記」
太陽の塔と小松左京

*「万国博を考える会」の詳細はこちら。


 梅棹忠夫先生、加藤秀俊先生という日本を代表する知性のお二人が、日本を遙か離れたアメリカで、製氷機からエンドレスで吐き出される氷をバスタブのお湯で溶かし続けるという、ショートショート「故障」と同じような突拍子もないシチュエーションに巻き込まれてしまったわけですから、小松左京も本当に驚いたことでしょう

小松左京アニメ劇場「故障」
©バンダイナムコフィルムワークス
/小松左京ライブラリ

小松左京の幻のアニメ企画


*テレビアニメや劇場版アニメとして検討されながらも実現にいたらなかった企画の紹介です。

【1965年・SF人形アニメ】
 眉村卓先生、堀晃先生と共に、海外輸出を前提としたSF人形アニメの準備を進めるましたが、パイロット版絵コンテの完成のみに終わりました。

*幻の人形アニメの詳細はこちら


【1976年・立体アニメ「さよならジュピター」】
 小松左京が東京ムービー新社の要請に応える形で立案したSF立体アニメ企画 。
 アニメ化は実現せず、1984年に三浦友和さん主演の実写の特撮映画として公開されました。

「さよならジュピター」の詳細はこちら。
Blu-ray情報


【1985年・幻のSFジュブナイルアニメ「宇宙船ギャロップ」】
 カナメプロダクションが企画した小松左京のジュブナイルSF『宇宙漂流』を原作としたテレビア
ニメ。


【2000年・劇場アニメ『果しなき流れの果に』】
 角川春樹さんが企画した富野由悠季監督による劇場版アニメ。

電子書籍「小松左京アニメ劇場」原作集

 「小松左京アニメ劇場」は、小松左京のショートショートを原作としたミニアニメ二七話からな
っていますが、原作のショートショートは様々な書籍にバラバラに収録されており、中には、現
在、文庫でも電子書籍でも読むことが困難となっている作品もあるため、初配信に合わせ、電子書
籍による原作集をリリースされました。
 アニメと原作、どちらも手軽に楽しんでいただこうという趣向です。

電子書籍「小松左京アニメ劇場」原作集
https://www.kadokawa.co.jp/product/322002000879/

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