~放送は終了しました~
<関連情報>
【日本アパッチ族】 1964年に初の長編として書き下ろされた作品。
大阪城に作られた流刑地で、食料の無い劣悪な環境で、スクラップを食べることにより生き延びた食鉄族 アパッチと日本との壮絶な戦いをユーモアと風刺たっぷりに描いた小松左京を代表する作品の一つ。
発表直後、岡本喜八監督による映画化企画もありましたが、残念ながら実現しませんでした。
また、「アンパンマン」のやなせたかしさんが、小松左京原作としては初のコミック化をされました。
ハルキ文庫版「日本アパッチ族」 角川文庫電子書籍版「日本アパッチ族」
【妻のためのラジオドラマ】
1964年発表、小松左京の初長編となった「日本アパッチ族」ですが、そのルーツは1958年の新婚当初、西宮の六畳一間のアパートを借りていた頃に遡ります。
作家デビューの前であり、傾いた父親の工場の立て直しに奔走するもうまく行かず、やけ酒をあおり、いつも帰りは深夜遅くになっていた小松を妻・克美は、毎晩、独りでラジオを聞きながら待っていました。
そんなある日、その大事なラジオがアパートの部屋から消えていた。
小松は、ついにラジオまで質草になったかと、妻が不憫でたまらず、「ラジオドラマのような面白い物語を妻のために書こう」と決意し、毎晩のように大学ノートに物語を少しづつ書いて工場に出勤しました。克美は面白がって原稿を読み、近所の奥さんにも見せて回っていましたが、「鉄を食べるなんて、気色悪い」と評判は今一つでした。しかし、克美は続きを読みたがり、その求めに応じて小松は物語を書き続けました。
そして、その物語が「日本アパッチ族」の原形となりました。
(実はラジオは質入れされてはおらず、故障して修理に出していただけでした)。
【没後初の原作利用はラジオドラマ】
小松左京の作品は、「日本沈没」「復活の日」など映画化、テレビドラマ化、またコミック化など様々なジャンルの作品の原作となりましたが、没後初の原作利用は「日本アパッチ族」のラジオドラマ化でした。
スタッフは絶版作品ということで、古本屋でみつけた表紙の擦り切れた文庫版「日本アパッチ族」から脚本をおこし、現代風のアレンジを加え、凝りに凝った効果音を駆使し、想像力を刺激する壮大で楽しい作品に仕上げました。
ラジオドラマとして蘇った「日本アパッチ族」は、「鉄になる日」というタイトルのもと2011年11月21日、毎日放送ラジオで関西ローカル向けに放送されました。
【芸術祭大賞受賞、ギャラクー賞大賞、ABU賞大賞受賞】
「日本アパッチ族」を原作とした毎日放送ラジオの「鉄になる日」は、芸術祭大賞、ギャラクー賞大 賞を受賞、ABU大賞を次々と受賞しました。
<受賞一覧>
・平成23年度(第66回)文化庁芸術祭大賞(ラジオ部門)
・第49回ギャラクシー賞ラジオ部門大賞
・ABU賞大賞
*160か国、200余りの放送事業者が会員となっているABU(アジア太平洋放送連合)による賞。