『日本沈没』や、阪神大震災を取材リポートした『大震災`95』等の直筆原稿、1970年大阪万博を推進する活動「万国博を考える会」の議事録、またSF作家デビュー前に漫画家として活躍した頃の原画などを、クリエイターを目指す方々に活用していただくことを目的に大阪芸術大学に寄託します。
*所有権は移転せず、適正な保管と活用を促進するための寄託です。
<寄託意図>
小松左京の遺品には、小説やエッセーの直筆原稿、大阪万博や花博に係った際の議事録や計画書、また、ドラマや映画、舞台化された作品の脚本など多くの資料があります。
これまでも、宮城県図書館や神戸文学館、明治大学・米沢嘉博記念図書館などで小松左京の企画展を開いていただきました。
小松左京は、SF以外にもホラーや風刺作品、時代ものなど、様々なジャンルの小説を発表し、また、世界各地の紀行文、落語や演芸に関するエッセー、さらに、万博やハイテク音楽イベントや演劇にも係り、映画、ドラマ、コミックなどにも沢山の原作を提供しました。SF作家デビュー以前には、漫画家、ラジオのニュース漫才作家としても活動していました。
小松左京は物語を通じて未来のあるべき姿を描き、社会に潜む危機に対し警鐘を鳴らし続けました。
「エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明監督を始め、様々なクリエイターを生み出してきた大阪芸術大学であれば、これら多岐にわたる小松左京の資料を、資料の展示だけでなく、授業や研究で活用してもらえると考え寄託することになりました。
なお、今後、教育機関や博物館、図書館などで小松左京の資料展示を希望される場合は、大阪芸術大学経由で貸出していただく予定です。
<大阪芸術大学と小松左京>
小松左京は、1978年から6年にわたり 大阪芸術大学 の教授を勤めました。
そして、一昨年他界された、大阪芸術大学映像学科の教授だった川北紘一監督とは、1983年公開の映画「さよならジュピター」で特撮を担当していただいて以来の懇意の仲であり、また、幻となりましたが1999年公開予定で企画された松竹株式会社の映画「日本沈没」は、現在、映像学科の学部長である大森一樹監督によるものでした。
小松左京と大阪芸術大学は関係が深く、文芸、キャラクターデザイン、音楽、美術、舞台、建築、環境デザインといった多くの学科において、寄託の資料を有効に活用していただけると期待しています。
<寄託第一陣>
小松左京の没後5年にあたる2016年は、東日本大震災発生からも5年となります。
大規模災害への警告を込めた『日本沈没』の直筆原稿と創作メモ、そして、1995年の阪神淡路大震災を詳細に取材リポートした『大震災`95』の直筆原稿を、第一だん陣の寄託資料とし、今後、順次、漫画原稿や大阪万博などのプロジェクト資料、各種映像化作品の企画書や台本などを寄託する予定です。
<『日本沈没』直筆原稿ファイル>
<『日本沈没』直筆原稿>
<『日本沈没』創作メモ>
<『大震災`95』直筆原稿>
第3回国際博を考える会議事録(1965年7月7日)