小松左京が一目ぼれした「復活の日」のカバー原画が44年ぶりに発見! 【生賴範義 展Ⅲ THE LAST ODYSSEY】で初公開されます。
*2016年に公開は終了しました。
【再発見された生賴範義先生の原画】
小松左京は、「日本沈没」「復活の日」「果しなき流れの果に」「首都消失」など、数多くの作品を発表しましたが、そのほとんどの本のカバーを描いたのが、昨年10月に逝去された世界的なイラストレーター生賴範義先生です。昨年、出版社の早川書房のもとで長く保管されていた生賴先生が描いた書籍のカバー原画がご家族のもとに数多く返却されたのですが、その中には小松左京関連作品15点も含まれていました。
特に注目されるのは、ハードカバー版「復活の日」(1972年)の原画です。
それは小松左京が一目見てほれ込み、以後作品のカバーイラストを依頼するきっかけとなった絵でした。
「復活の日」は、1980年に角川書店により製作費25億円をかけ映画化されますが、その際に、海外スタッフとのイメージ統一のためのストリートボードを生賴先生が描き、映画ポスター、文庫本カバー含め、その後のキービジュアルも全て手掛けられました。
小松左京は、生賴先生の「復活の日」のカバーイラストを見た時の感動を次のように語っています。
それを手にした時、私は興奮のあまり、すぐ早川書房に、当時はまだ、南山宏さんがSFの責任者だったと思うが、電話してきいた。「あの絵、描いた人、日本の人? うそだろう? 外国のSF画家じゃないの?」 電話を切っても、いよいよ日本にも、迫力のある、プロのSF画家がでてきたぞ、と興奮さめやらず、本の腰帯をひきむしり、本のカバーをひろげ、すみからすみまで、もう一度なめるように見入ったものだった。 これ以来、生賴さんの絵には、とりつかれてしまった。
「“ドカッ”と私の前にあらわれたプロSF画家」 (『日本語版スターログ』・1979年)より
「復活の日」カバー原画は、みやざきアートセンター(宮崎市)で、12月3日(土)から開催される【生賴範義 展Ⅲ THE LAST ODYSSEY】で初公開されます(特設コーナー「平井和正・小松左京ワールド」内にて)
*2016年に公開は終了しました。
生賴範義先生と小松左京
小松左京は、1972年に、早川書房のハードカバー版「復活の日」の表紙を見た瞬間に、生賴範義先生の飛び抜けた才能にほれ込み、以降、自らの表紙を生賴先生に依頼するよう出版社に働きかけました。それは、早川書房だけでなく、角川文庫では、ほぼ全部、徳間書店では「首都消失」の文庫表紙と未完の遺作となった「虚無回廊」の表紙など小松左京作品でもっとも多くの表紙を手掛けていただきました。
小松左京の代表作である「日本沈没」においては、映画化の際、1973年公開版、2006年公開版のいずれも、生賴先生がポスターを描いています。
小松左京は、特に「ゴルディアスの結び目」の表紙に魅せられ、無理を言って原画を譲り受け、自宅に飾りました。
また、小松左京の同人誌「小松左京マガジン」の表紙用に描かれた肖像画も譲っていただき、それをお別れ会の席では遺影としました。
今年は、小松左京の生誕85年、没後5年にあたり、生賴範義先生と小松左京を繋ぐきっかけとなった「復活の日」のカバー画が、44年ぶりに発見され、公開されることを遺族として心から感謝しています。
なお、【生賴範義 展Ⅲ THE LAST ODYSSEY】では、小松左京が生賴先生から譲り受けた、「ゴルディアスの結び目」と小松左京の肖像画も展覧会としては初展示されます。
*2016年に公開は終了しました。
【生賴範義 展Ⅲ THE LAST ODYSSEY】 2016年12月3日(土)~2017年1月15日(日)
*2016年に公開は終了しました。
追記 新版「復活の日」について
追記 発見された原画をスキャンし新カバーとなった「復活の日」が早川書房から2018年に出版されました。