御先祖様万歳

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『御先祖様万歳』には、シニカルでウィットに飛んだ短編12本が収録されています。

「御先祖様万歳」は、1963年の「別冊サンデー毎日」に掲載された、時間テーマのSF作品で、幕末日本と、その百年後の日本が繋がってしまう騒動を描いています。

『御先祖様万歳』電子書籍版の解説を書くにあたり、小松左京の資料を整理したところ、大変興味深いものが発見されました。原作から二年後に、フジテレビでドラマとなった「ご先祖さまバンザイ」の第一回のシナリオです。

御先祖様バンザイ(表紙画像)

 

 

「信託水曜劇場」の枠で、1965年12月15日(水)夜10時からの放送でした。

脚本は、NHKのラジオ番組「日曜娯楽版」、やNTVの「11 PM」「ゲバゲバ90分」などを手がけたキノトール先生。

主演は、朝日放送「赤かぶ検事奮戦記」シリーズや映画「幕末太陽伝」など、テレビ、映画で大活躍をしたフランキー堺さん、ヒロインは中村メイコさん、また、「ルパン三世」の銭形警部や、「宇宙戦艦ヤマト」の沖田艦長など、様々アニメ作品の声を演じた納谷悟朗さんが、幕末の新撰組の志士、沖田総司の役で出演しています。

同じ年に、中村メイコさんが声を担当したNHKの「宇宙人ピピ」が放送されていますが、これはTV用に書き下ろしたオリジナルストーリーなので、厳密に小松左京の小説の映像化は、この「御先祖様万歳」が最初になります。

映像は残っていませんが、キノトール先生の脚本は素晴らしく、現存していれば、日本のドラマ史、また日本SFの映像史において貴重なモニュメントとなったと思います。

 

「痩せがまんの系譜」は、なかなか結婚しない女性を結婚させようと、理想の男性を、これまた幕末の世から連れ出すお話です。

一九六七年に文化放送によるラジオドラマ化されており、出演は岸田今日子さん、中谷昇さん、山崎努さんでした(このテープは現存しています)。

また、1975年には官能的な女性向け漫画の第一人者、牧美也子先生によりコミック化され、「女性自身」で連載されました。

さらには、 1992年、「歴史に触った女」として、神崎愛さん、永島敏行さんによる舞台劇となりました。

 

「聖六角女学院の崩壊」は、ギャグ漫画か、あるいは掛け合い漫才のような軽妙なテンポで繰り広げられる、伝統ある正六角女学院を舞台にした物語。

一見、軽い作りになっていますが、このお話には深い意味が有りそうな、無さそうな……。

 

「カマガサキ二〇一三」は、物乞いで生活している男二人の元に、未来からやってきた大学出の失業者が加わり、ある発明をすることで巻き起こる騒動の顛末記です。

小松左京は、戦後の父親の会社が倒産しその返済のために大変苦労したことから、社会の弱者に対する、ある種のシンパシーを持ち続けていました。

そんな小松左京の世界観を、見事な漫画に仕上げたのが山上たつひこ先生でした。

1971年「少年マガジン」に掲載。社会現状となる破壊的ギャグマンガ『がきデカ』が一世を風靡する3年前のことです。

 

<収録作品>

SOS印の特製ワイン
カマガサキ二〇一三年
ダブル三角
ぬすまれた味
機械の花嫁
御先祖様万歳
三界の首枷
紙か髪か
女か怪物(ベム)か
聖六角女学院の崩壊
痩せがまんの系譜
日本売ります
墓標かえりぬ