蟻の園

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『蟻の園』には、小松左京の商業デビュー作である「易仙逃里記」をはじめ、最も初期の作品5本が収録されています。

小松左京は、1961年の早川書房「第一回空想科学小説コンテスト」への応募で、SF作家デビューのきっかけをつかみますが、商業誌デビューは「SFマガジン」1961年10月号に掲載された「易仙逃里記」でした。

「易仙逃里記」は明代の中国を舞台とした漢文調のタイムトラベルSF。中国の怪異譚『聊斎志異』の影響をうけています。

 

「お茶漬けの味」は、1962年の第二回空想科学小説コンテストで、半村良先生の「収穫」と三席入選を分かち合った作品です。人類の宇宙進出という小松左京の生涯のテーマの一つが初めて表現された作品であり、また食いしん坊であった小松左京らしくグルメ要素も盛り込まれています。

 

表題作「蟻の園」は、団地の5階と4階の間の踊り場で5歳の男の子が忽然と姿を消す事件を扱った作品です。

コンクリートの階段のどこからか、かすかに聞こえる子供の泣き声。けれどその姿はどこにもない。謎を追う刑事と警部。

オーソドックスなミステリー小説の手法をとりいれながら、SF的なクライマックスが用意されています。

小松左京はSF作家デビュー前に、産経新聞の文化欄で翻訳ミステリ雑誌評の仕事をしており、沢山のミステリを読み込んでいました。その時学んだ手法が、本作にも生かされています。

<収録作品>

お茶漬の味
ホクサイの世界
易仙逃里記
蟻の園
釈迦の掌