ウインク

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『ウィンク』には、一九六五年に創刊された大変ユニークな雑誌「話の特集」の創刊号掲載の「イワンの馬鹿作戦」から、一九六七年八月号の「ヤクトピア」までの十二本のSF短編が収められています。

 

表題作「ウインク」は、視線恐怖には決してお勧めできない作品です。

生賴範義先生の迫力ある目立の表紙絵を見た上で、まだ読みたいと思う方は問題ありませんが。

小松左京は様々なシチュエーションで人類滅亡の危機を描いてきましたが(中にはオレンジジュースで滅ぶというものまであります)、この「ウインク」は気落ちの悪さではナンバーワンと言ってもよい作品です。

 

「イワンの馬鹿作戦」は、国民全部がおバカになってあらゆる事態を乗り越える、大馬鹿話です。

「そんなアホな!」と思いながらも、二十一世紀に入ってもなお、相も変わらず武力を背景に解決をはかろうとして多くの犠牲を出してしまう、現実の国際社会と、ここに描かれた一見馬鹿げた世界、どちらが本当にアホなのか、ちょっと考えてしまいます。

 

「日本漂流」のタイトルは、「日本沈没」のタイトル候補となっていたものです。

「日本漂流」は、小松左京が『日本沈没』執筆中に、その先の第二部を描くための演習的な位置づけの作品でした。

したがって、冒頭は以下のような文章で始まっています。

――長篇のためのプロット。デテイルを想像してお読み下さい

小松左京が想いをはせた、沈没後の日本人の姿は、谷甲州先生の力をお借りし、二〇〇六年に『日本沈没 第二部』として実現します。一九六四年の構想開始から実に、四二年の歳月が流れていました。

 

「ヤクトピア」

六〇年代後半は、高度成長期の浮かれ騒ぎのうえ、アメリカから世界に広がったヒッピー文化も一大ブームとなっていました。ヒッピー文化とともに日本に入ってきた、薬物にスポットを当てて書かれた作品が、「ヤクトピア」です。

お読みいただければわかりますが、その描かれた世界は、CGを駆使したバーチャル世界さながら、また、六〇年代でありながら、人工DNA合成、DNAの移植による記憶の伝達、はたまたオーガニックコンピューターなど、現在においても色あせないアイデアが満載です。

電子書籍版『ウインク』には小松左京の描いたヒッピーの絵を収録しています。

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