小松左京直筆

「空中都市008〜北極圏SOS」幻の創作メモ発見‼

 

1969年4月7日に放送がはじまり、今年、2014年の4月に45周年を迎えるNHKの人形劇「空中都市008」。

月〜金の毎回15分の帯番組として全230話が放送されましたが、当時の2インチVTR(幅が2インチ)は大変高価なもので、使い回された結果、全話が消去されたとなっていました。

その後、「空中都市008」の正月特番『北極圏SOS』(30分)海外向けバージョンが発見され、DVDにも収録されました。

*NHK人形劇クロニクルシリーズ Vol.3竹田人形座の世界~空中都市008。

 

小松左京は原作使用を許諾しただけで、人形劇「空中都市008」の制作には一切関与していないとされていましたが、2011年に亡くなってから遺品整理をしたところ、『北極圏SOS』に関しての直筆の創作メモが見つかりました。

今回見つかった創作メモには、プロットやアイデアがかなり詳細に書き込まれてある上、唯一現存する『北極圏SOS』の回ということで、完成した作品と創作メモを見比べることができます。

空中都市008の「北極圏SOS」の回は、世界が協力して北極周りの広大な極寒の地を利用する目的で北半球の気候を改造する「スプリング計画」が大地震のため頓挫し、さらに、空中都市008の子供たちが乗った視察船も地震による津波で押し寄せた氷山に閉じ込められたため、その子供たちを救おうと各国の空中都市が一致協力する科学知識満載で自然災害をテーマにしたパニックSFでした。

計画の顛末を架空リポート風にまとめました(当時のものではありません)。

「スプリング計画」報告書

小松左京の創作メモは、ストーリーの構成や様々なアイデアをNHKの原稿用紙に書き付けたものです。

「日本沈没」を彷彿とさせる、小松左京直筆の災害パニックSFの創作メモをご覧ください。

『空中都市008〜北極圏SOS』創作メモ

 

 

 

 

 

 

 

 

小松左京マガジン第10号(2003年)

小松左京マガジン第10巻(2003年4月発行)

「空中都市008」DVD化記念特別インタビュー

小松左京とジュブナイル

 

*小松左京と、池田憲章先生、伊藤秀明先生、とり・みき先生の

座談会が掲載されています。

 

 

この中で、池田憲章先生の

『脚本の高垣葵先生には、例えば「こういう要素を入れてくれ」みたいな注文とかメモ書きのようなものを渡されたりしなかったんですか?』との質問に対し

小松左京は

「スタートする前には何回かあってると思うけど、あとはほとんど電話での打ち合わせで、始まってからはほとんど全部任せっきりだった」と答えています。

 

伊藤秀明先生は

「この特別編は原作にはないエピソードにもかかわらず、かなり上質なSF……それも小松SFのテイストを非常に感じるんですよ。だから脚本になんらかの形でかかわっていらしたんじゃないかと思ったんです」と指摘しています。

 

とり・みき先生は

「スプリング計画という、ベーリング海峡にダムを造って寒流を堰き止め、シベリアにマグマ井戸をほって地熱を利用して北極を温暖化する壮大な環境改造計画が出てくるけど、当時の番組(大人向け子供向け含めて)にしたら意外なくらい科学的な考証をしているのに驚きました。すっとばしてもよさそうなところなのに、けっこうこだわりが感じられる。おまけにこのプロジェクトは『極冠作戦』のリバースになっているんですね。さらに見せ場となる暴風とダム決壊にしても、マグマ井戸のうち環太平洋地帯にあったものが地震で破壊→マグマが北極海に流れ込み猛烈な水蒸気が発生して大嵐となる→北極海の氷が溶けダム決壊、という科学的な理屈をしっかりとつけて登場人物に言わせている。使っている材料も小松さんっぽくて、これがすべて高垣さんのオリジナルだとししたらとても不思議な気がするんですけども」と解析されていました。

 

小松本人は、

「僕はコミットしなかったけど、高垣さんもすごく勉強したんじゃないのかな」と最後まで関与を否定していました。

 

今回、「北極圏SOS」の直筆のメモが発見されたことにより、池田先生、伊藤先生、とり先生の指摘された小松左京関与説が裏付けられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「極冠作戦」とは

小松左京が1973年に発表した地球温暖化をテーマにしたSF短編。

二酸化炭素の増加による温暖化で、海面が150〜200m上昇し、大半の陸地を失った人類の失地回復のために、世界に28ある自立走行型「海上都市」の動力と南北両極をつないだ海中パイプラインを使って炭酸ガスを分離固形化するなどし、地球の再冷却化を試みようとする物語。