日本初の本格的エスパー小説「エスパイ」 超能力を持つスパイの活躍を描く「エスパイ」は、1965年に発刊され、今年50周年を迎えました。 1965年の早川書房から出された初版の「エスパイ」の解説で、当時、SFマガジンの編集長であった福島正実先生は、この作品を『わが国で書かれたはじめての本格的なエスパー(超能力者)小説』と紹介してくださいました。

エスパイ電子書籍版「エスパイ」

  没後発見された「エスパイ」台本の中の手紙 「エスパイ」は、1974年、小松左京の作品としては「日本沈没」に続く2作目の劇場用映画になりました。 劇場版「日本沈没」(1973年公開)の主演であった藤岡弘さん、後に角川映画「復活の日」(1980年公開)の主役を務める草刈正雄さん、また1974年のテレビ版「日本沈没」のヒロインでもあった由美かおるさんといった、小松左京作品に縁の深い方々がクレジットされています。

特撮は「日本沈没」で迫力ある地殻変動の数々を創り上げた中野昭慶特技監督。本作では、スピーディーで手に汗にぎる超能力戦を描きました。

この映画の熱狂的なファンの方も多く、2006年の劇場版「日本沈没」の樋口真嗣監督は、『完全読本 さよなら小松左京』(徳間書店)の座談会の中で、新たな劇場版「エスパイ」を作りたいとまで語っています。   小松左京の没後、「エスパイ」のシナリオが複数見つかりました(もっとも古いものは、コピーの形で、1968年「超人エスパイ(仮題)」検討用台本となっています)。 その中の、1974年9月5日付の「エスパイ」決定稿3(脚本 小川英さん、掛礼昌裕さん、福田純さん)の中から手紙が発見されました。 田中友幸プロデューサー(代筆 角田健一郎さん)から、小松左京にあてたもので、以下のような ことが書かれていました。 「リンダ・ブレア出演の件は、依然として未決定で最後の努力をしておりますが、今のところ見込み二〇%というところです」 エスパイ手紙

<発見された、「エスパイ」第三稿と手紙>

ⓒTOHO CO., LTD.

リンダ・ブレアは、1973年、世界で大ヒットしたホラー映画「エクソシスト」のヒロインであり、この作品でゴールデングローブ賞 助演女優賞を受賞、またアカデミー助演女優賞にもノミネートされました。 結局、「エスパイ」への出演は幻となりましたが、シナリオ第三稿よると、リンダ・ブレアの役は、エスパイの最高責任者の娘で、非常に高い予知能力の持ち主ジュディ―という設定で、クライマックスで活躍します。 仲間のエスパイである草刈正雄さん演じる三木に対し淡い恋心を抱いており、もしリンダ・ブレアの出演が実現していたら、今の映画版「エスパイ」とは、随分ちがった印象の作品になったかもしれません。     エスパイ (2)

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