小松左京の代表的シミュレーション作品『日本沈没』『首都消失』が、WOWOWシネマで2017年12月に放送されます。

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1964年のデビュー直後の『復活の日』から始まった、小松左京のシミュレーション小説中でも代表作である『日本沈没』『首都消失』の劇場版映画がWOWOWで連続放送されることになりました。
1973年、『日本沈没』が発表された、その同じ年の暮に劇場公開された映画「日本沈没」。
邦画初の配収20億円(当時の物価で)を達成し、動員数880万人とも言われる、邦画スペクタクル映画の金字塔。
『首都消失』は、政治、経済、メディア、全ての中枢であり、日本にとって掛け替えのない東京が、ある日突然、正体不明の霧状物質に覆われ、外部との交流が一切できなくなる究極の事態を描いており、劇場版は1987年に公開されました。
「日本沈没」「首都消失」ともに、極限状態を想定したシミュレーションであり、あくまでフィクションですが、映画として楽しんでいただくともに、この国に関わる様々な危機がとりざたされる中、それをどう受け止め、どう振る舞うべきか考えるきっかけとして、ご覧いただければと思います。

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映画「日本沈没」(1973)
2017年12/18(月)午前8:00 ~(WOWOWシネマ)

http://www.wowow.co.jp/detail/015136/-/02

 

「首都消失」放送
2017年12/21(木)午前8:00~(WOWOWシネマ)

http://www.wowow.co.jp/detail/020095/-/02

 

【日本沈没】

映画「日本沈没」(1973)11月6日(月)WOWOWシネマ(C)東宝

 

 

 

 

 

映画「日本沈没」(1973)  12/18(月)午前8:00~WOWOWシネマ (C)東宝

日本各地で地震が続くなか、小笠原諸島近海で無人島が一晩のうちに海中へ沈んだ。調査のため潜水 艇に乗り込んだ地球物理学者の田所博士は、深海の異変を目の当たりにして恐るべき予測を唱えた。 --早ければ二年以内に日本列島の大部分は海面下に沈む! 田所博士を中心に気鋭の学者たちが地質的大変動の調査に取り組むと同時に、政府も日本民族の生き 残りをかけて、国民の海外移住と資産の移転計画を極秘に進めていった。 が、その矢先、「第二次関東大震災」を皮切りに、地震、噴火などが全国各地で発生。想定外のスピ ードで事態は悪化していく。はたして日本民族は生き残ることができるのか。

1973年3月、小説発表直後から話題となり、上下巻合わせて380万部というベストセラーとなった『日本沈没』(その後、文庫化などもあり現在累計460万部)。
その同じ年の暮れに、当時の金額で5億円(大学初任給は6万2千円ほど。映画料金も800円でした)という破格の製作費をかけ、公開された映画「日本沈没」は、邦画として初の配収20億円の大台にのりました。
企画を提案したのは、「ゴジラ」や黒澤明監督作品など映画史に残作品を数多く手がけた田中友幸プロデューサー。黒澤明監督の助手を長くつとめ、この後、「八甲田山」、「海峡」「小説吉田学校」など数多くの名作を世に送りだす森谷司郎監督がメガホンを取りました。
脚本はベネチア映画祭を受賞した「羅生門」を黒澤監督と共同脚本する形でデビュー。「日本の一番長い日」や、「八墓村」など、日本映画史に輝く名作を多数手がけた橋本忍先生。その、構成力と台詞の数々は素晴らしく、小松左京が訴えたいメッセージを、小説とは異なる手法で、強く観客に印象づけました。
俳優陣は、主人公、小野寺俊夫を藤岡弘、さん、ヒロイン阿部玲子をいしだあゆみさん、山本総理を丹波哲郎さん、渡老人を島田正吾さん、そして田所博士を小林桂樹さんと、大変豪華なものでした。
特に小林桂樹さんは、日本列島が沈みゆく事実をいち早く気づき、この国の全てを愛するあまり悩み苦しみながらも、粉骨砕身する孤高の科学者を見事に演じていました。火山灰が降りしきる中、丹波哲郎さん扮する山本総理と田所博士の別れのシーンは圧巻です。
この作品のもう一つの要である特撮は、円谷英二特技監督の愛弟子である中野昭慶特技監督。
中野特技監督は、徹底してリアルな描写にこだわり、映画のプロローグで描かれた実寸大模型の深海潜水艇わだつみの潜水シーンから、特撮を駆使した深海での列島沈没の前兆現象発見シーンまで、まるで、科学ドキュメンタリー映像のようなリアリティーで迫ります。また、第二関東大震災のシーンは、原作を読みこなすだけでなく、自らも専門家の意見を聞くなど、ただの特撮のスペクタクルシーンを超える、まるで、大地震のまっただなかに放り込まれたような、恐るべき映像となっています。

【首都消失】

映画「首都消失」11月10日(金)WOWOWシネマ (C)関西テレビ・徳間書店・KADOKAWA

 

 

 

 

 

映画「首都消失」(1987年) 12/21(木)午前8:00~ WOWOWシネマ (C)関西テレビ・徳間書店・KADOKAWA

ある朝、東京が半径30km(映画では直径50㎞)、高さ1kmの正体不明の雲に覆われ、日本は、外交、防衛、経済、メディアといった様々な機能の中核である首都を突如失ってしまう。
本映画の原作『首都消失』(1985年)は、そんな危機的状況をリアルに描き、一局集中が進む日本の脆弱性に警鐘を鳴らした作品です。
本作に関して、小松左京は次のように語っています。

『首都消失』は、当時、首都移転論や東京が壊滅した場合の危機管理が盛んに言われていたから、それを考えてみたかった。東京が謎の霧に包まれ、突如として音信不通になった場合、誰がどう動くのか。そのシミュレーションを徹底的にやってみた。

『日本沈没』のような大地殻変動も、『復活の日』のような謎の病原体による人類大絶滅も起きません。
唐突に東京が雲状物質に覆われ、日本はその首都を失ってしまうのです。
この作品と双子のような作品が、トランプ大統領の誕生で話題となった「アメリカの壁」(1977年)です。
「アメリカの壁」は、『首都消失』に先行して発表され、こちらはアメリカが謎の雲上物質に覆われ、外部との行き来が一切不可能になる話です。
アメリカが世界から孤立したら?首都東京がその機能を失ったら?
両作品とも、極限状況におけるリアルなシミュレーションとなっています。

映画「首都消失」の監督は、「嵐を呼ぶ男」や「二百三高地」、「宇宙戦艦ヤマト」シリーズなど超大作からアニメまで、数多くの作品でメガホンをとった舛田利雄監督。
製作は、関西テレビ、徳間書店、大映映画の三社。原作『首都消失』では、名古屋が暫定首都候補になるなど、関西は影の薄い存在でしたが、映画「首都消失」は関西テレビの劇場映画第一作ということもあり、原作には存在しない名取裕子さん演じるヒロインは、関西テレビならぬ、関西放送の番組リポーターとして活躍し、セリフにも大阪弁が飛び交います。
名取さん以外にも、渡瀬恒彦さん、山下真司さん、夏八木勲さん、財津一郎さんといった豪華なキャスティングで、また「日本沈没」で、山本総理を演じた丹波哲郎さんも、政界のフィクサー役として出演しています。
特技監督は、「日本沈没」で、リアルで鬼気迫る映像を創りだした中野昭慶監督。一九八〇年代の製作で、CGをまったく使わない特撮ながら、見事に首都圏を覆う巨大な雲を表現しています。決して派手なシーンではありませんが、人々が見つめる遥か彼方に立ちはだかる謎の雲は、本当にそこに存在しているかのように見えます。