『やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記』が2018年9月28日発売されました。
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戦中戦後の動乱の中で過ごし、SFの原点となった青春時代。
日本の高度成長期、史上最大の博覧会の理念創りに深く係わった壮年時代。
二つの時代の記録から、小松左京の本質と目指していた未来に迫ります。
<第一部 やぶれかぶれ青春記>
「やぶれかぶれ青春記」は1960年代末の受験生向け雑誌『蛍雪時代』に連載されていたユーモラスで半ばやけくそ気味な自伝小説。
戦中と戦後の混乱による地獄のようなどん底世界で、もみくちゃにされながらも生き延
びた旧制中学時代。そして、人生において最も輝かしい日々と断言した、自由で底抜けに楽しかった旧制高校時代、この二つの要素を含んだ青春時代こそが、小松左京の創作、そして全ての活動の原点でした。
実はこの青春時代、非常に重要でありながら連載時期には封印されていた出来事があり
ました。旧制高校1年でデビューし、たちまち売れっ子となり、当時、手塚治虫先生も注目したほどの漫画家だった小松左京は、何故、輝かしい漫画家時代を忌わしい過去とし封印したのか、それはどのように解かれたのか。没後、アメリカで見つかったデビュー漫画のエピソードも踏まえ、小松左京の次男・実盛が解説します(「青春記に書かれなかったこと――漫画家としての小松左京」。
【関連情報】
小松左京は1948年、旧制高校時代に本名・小松實の名で商業漫画家デビュー。
モリ・ミノルのペンネームで「大地底海」などの作品を発表するが、漫画家としての活動は大学時代で終え、以降、長きにわたり漫画家であった事実を封印します。
モリ・ミノルの大ファンだった松本零士先生の熱心な働きかけて、2006年に現存していた原稿や書籍をもとに「小松左京 モリ・ミノル漫画大全集」(小学館)が出版されました。
没後3年にあたる2014年、デビュー作「怪人スケレトン博士」がアメリカで発見され話題となりました。
なお、今年は小松左京の漫画家デビュー70周年にあたります。
<第二部 大阪万博奮闘記>
1964年の東京五輪に続き大阪で国際博覧会の開催を、という一報が新聞に掲載されたころ、自発的に万博の調査を進め、そのあるべき姿を探った知的ボランティア的な集団の「万国博を考える会」が発足された。
正式な組織である博覧会協会とは関係のない勝手連的な集まりだったため、公式記録には一切載らなかった。だが、ある事情から大阪万博の理念創りを担当することになり以後、メンバーは、それぞれ、万国博に深くコミットしていくことに。
本書には、「万国博を考える会」の唯一の証言記録で、大阪万博開催直後に書かれた「ニッポン・七〇年代前夜」、万国博プロジェクトに深く関わり、その理想像を力強く訴えた万国博覧会資料「万国博はもうはじまっている」、さらに、「万国博を考える会」の創設メンバーであり、メディア論や社会論などで多くの実績を残してきた加藤秀俊先生が、その鋭い洞察力と驚くべき記憶力で、当時の一連の動きを俯瞰的に紹介する、書き下ろし「小松左京と走り続けた日々」が掲載されています。
半世紀前の小松左京の手記及びメッセージ、そして盟友であった加藤秀俊先生の解説、二人の異なる視点によって、世紀の超巨大プロジェクトであるEXPO‘70大阪万博の真の姿が浮かびあがります。
加藤秀俊先生の文庫解説が現在HONZOで公開されています。
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【関連情報】
「万国博を考える会」は1964年7月に結成された会。
創立メンバーには、梅棹忠夫先生、加藤秀俊先生、小松左京らがおり、その後、手塚治虫先生、星新一先生、岡本太郎先生らも活動に参加しました。
国や大阪府、大阪市、商工会議所、後に設立する万博協会からも全く独立した集団で、大阪での万博開催が不確定な時期から、会の名の通り、多角的に万博のあり方を研究しました。
最終的には万博プロジェクト本体とも深く係わり、1965年11月パリで開かれる万国博国際理事会に提出するテーマと基本理念は、「万国博を考える会」の研究の蓄積を基に、梅棹先生を中心とするメンバーが泊まり込みで草案をまとめました。
小松左京の没後半年の2012年、遺品の中から「万国博を考える会」の活動を裏付ける資料が発見され、新聞やテレビのニュースで紹介されました。
『今は、とにかくスピードが要求されている時だった。そして、わずか二カ月たらずで、テーマと基本理念をこしらえるという「突貫作業」は私たちが一年半もの間、知る人に「お先っぱしり」と冷やかされながらつづけてきた研究の蓄積をフルに利用することによって、可能になったといえるだろう』
*本書掲載「ニッポン・七〇年代前夜」
 
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<収録作品>
第一部 やぶれかぶれ青春記録
・やぶれかぶれ青春記
・「青春記」に書かれなかったこと―漫画家としての小松左京(小松実盛)
第二部 大阪万博奮闘記
・ニッポン・七〇年代前夜
・万国博はもうはじまっている
・小松左京と走り抜けた日々(加藤秀俊)
価格 680円 (税別)
発売 9月28日