2017年・電子書籍「日本沈没 決定版」(文藝春秋)と1973年・少年マガジン「日本が消える日」(講談社)に纏わるエピソードをご紹介します。

 

 

現在開催中の生賴範義展では、44年ぶりに発見された「復活の日」表紙画や、小松左京の遺影として自宅に飾られている肖像画など、小松左京関連コーナーを設けていただき沢山の作品が展示されています。

「日本沈没 決定版」(表紙)

電子書籍「日本沈没 決定版」(文藝春秋)

その小松左京コーナーではなく雑誌のコーナーに展示されているのが、生賴先生と小松左京の最新コラボレーションとなった絵で1973年12月の週刊少年マガジン51号に掲載されたイラスト「日本が消える日」です。

 

昨年2017年にリリースされた電子書籍「日本沈没 決定版」(文藝春秋)は、「日本沈没」の電子書籍では初の上下巻一体版というだけでなく、日本列島が沈没するメカニズムを解説した様々なカラー図版、イメージを喚起していただくための迫力ある報道写真、各章ごとの地殻変動の経緯を示すマップ、さらに小松左京の創作メモや幻の草稿の画像なども掲載されたこれまでにないものとなりました。

まさしく「決定版」といっていい内容であり、読者の方々を作品に誘う大切なゲートである表紙は、それに相応しいものでと考えました。

生賴先生は残念ながら2015年にご逝去され、新たな『日本沈没』の絵を描いていただくことは叶わぬことです。それならば、これまで生み出された生賴先生の作品の中で、「日本沈没 決定版」の表紙に合うものはないか。少しでもイメージの近いものがあれば、それを使わせてもらえないだろうかと生賴先生の画集を確認するなかで、表紙としてとても相応しい絵を発見しました。

それが、この週刊少年マガジンに掲載されたイラスト「日本が消える日」です。

 

遥か背後では火山が噴火し、巨大なビルが次々崩れ、地割れの底からもマグマらしき赤い光が漏れています。そんな壮絶な状態の中を淡々とした表情で進む人々の列。先頭を進むリーダーとおぼしき男性は、歩けない人を背負い進みます。逆境にあっても、逞しいその姿。

 

「日本沈没」のイメージに重なるこの迫力ある絵。

実は単なる偶然ではありません。

この絵が少年マガジンに掲載された1973年12月は映画「日本沈没」の公開された月。

少年マガジン編集部は、このタイミングで「日本沈没」をイメージした絵を生賴先生に依頼したのだと思われます。

 

書籍の表紙のために描かれた作品ではありませんが、生賴先生のご子息オーライ・タロー様に、電子書籍の表紙として使用したいとお願いしたところ快諾していただきました。

 

「生賴範義展」の小松左京コーナーの展示ではありませんが、実は生賴先生と小松左京の最も新しい縁となった作品。

2017年の電子書籍「日本沈没 決定版」の表紙となった、1973年少年マガジン掲載の「日本が消える日」の素晴らしい原画をどうぞごらんください。

上野の森美術館で開催中の「生頼範義展」は2018年2月4日(日)までです。

*終了しました。