1973年版の『日本沈没』の巻末は、第一部完で締めくくられていました。

『日本沈没』は、日本列島を失った日本人と、その後の世界の変化がテーマの作品で、日本が沈むことはその大きな序章でした。

第一部から33年たった2006年、谷甲州先生と小松左京の共著として、『日本沈没第二部』が完成します。

 

小松左京は、『日本沈没』の第一部を出した翌1974年、『異常気象』という本を出版しています。

そこでは、自らの取材に加え、様々な科学者と対談することにより、地球の寒冷化に関して検証しているのですが、実はこの本は、『日本沈没』執筆において、日本が沈没に至る地殻変動により、世界の気象がどう変わるかをシミュレートするためのステップとしてつくられた作品です。

過去にも大噴火がきっかけで、急激な気象変動がおき、世界の歴史に大きな影響を与えています。

『日本沈没第二部』では、日本が沈没した後の地球環境の変化を予測するために脱出した日本人たちが、地球シミュレータを創り活用するエピソードが、物語の大きな柱の一つとなっています。

 

日本列島を失った日本人が、脱出先で苦労しながら築き上げているので、現実の地球シミュレータとは異なる存在です。しかし、そのモデルとなったのは、現在も活躍している実在の地球シミュレータです。

 

地球シミュレータは、2002年に完成した、当時世界最速の計算速度を有したスーパーコンピューターです。

コンピューター内に仮想的な地球環境を創り、地球温暖化、大気汚染、地震発生などの様々なケースをシミュレーションしています。

 

『日本沈没 第二部』(著者 小松左京、谷甲州)より

 篠原も窓越しに、その部屋をのぞき込んだ。そして眼をみはった。シミュレータは、そこにあった。想像していたよりも、はるかに大きなハードウエアだった。体育館ほどの広さがあるフロアに、数百もの筐体がならんでいる。そのひとつひとつが、高速演算の可能な計算機とその記憶装置らしい。

「これは?」

圧倒される思いで、篠原はたずねた。ふり帰った山崎が抑揚のない声でいった。

「地球シミュレータです。全地球の気象変動を、シミュレーションすることが可能だときいています」

篠原は息をついた。どうやら自分が手がけようとしているのは、地球規模のプロジェクトらしい。

 

地球シミュレータ地球シミュレータ[ES2](JAMSTEC)

 

地球シミュレータは、現在JAMSTECの管理下にあり、様々な分野の研究で

活用されています

http://www.jamstec.go.jp/es/jp/